AIは、言葉選びに少しだけくじ引きを混ぜている

AIは答えの文章を組み立てるとき、次の言葉の候補をいくつも思い浮かべて、その中から選んでいます。このとき、いつも一番の候補だけを選ぶのではなく、少しだけくじ引きの要素を混ぜる設計になっています。

理由は、そのほうが文章が自然で豊かになるからです。毎回まったく同じ言い回しを返す機械は、定型文の自動応答と変わらなくなってしまいます。

変わるのは言い回し。事実が毎回変わるなら別の問題

このくじ引きで変わるのは、主に言い回しや構成です。きのうは箇条書き、今日は文章、という違いはここから来ます。

一方で、事実の中身そのものが毎回変わるとしたら、それは前回の記事で書いた「記憶だけで答えている」仕組みのほうの話です。言い回しの揺れと、事実の揺れは、別のものとして見てください。

揃えたいときは、型を渡す

会社の文書のように毎回同じ形にしたい場合は、AIの気分に任せず、こちらから型を渡します。「この見本と同じ構成で」「件名、宛名、本文三行、結び、の順で」のように指定すると、揺れは大きく減ります。

たとえば見積もりの送り状なら、「宛名、あいさつ一行、金額と納期、結び、の順で。二百字まで」のように骨組みを言葉で渡します。一度うまくいった頼み方をメモ帳に取っておいて、次回はそのまま貼り付ける。これだけで、日々の文面はほぼ揃います。

これは何を意味しないか

答えが毎回違うことは、信用できないという意味ではありません。同じ頼みごとでも人によって手紙の文面が違うのと同じで、揺れていい部分が揺れているだけです。揺れては困る部分は、型で固定できます。一言一句まで固定したい文書なら、AIに毎回作らせるのではなく、AIで作った決定版をひな形として保存しておく手もあります。

明日できる小ささ

よく使う頼みごとをひとつ選んで、同じ文面で二回聞いてみてください。どこが変わってどこが変わらないか、AIの揺れ方が体感でつかめます。