Gmailに届いた相談を、Docsに貼って企画書にして、要点をSlidesに移す。三つのアプリを行き来して、そのたびに開いていたタブを探し直す。気づけば、書くより探す時間のほうが長い。よくある午前中です。
2026年9月9日、GoogleはGeminiを、この行き来そのものを肩代わりする「まとめ役」にしたと発表しました。Gmail、Drive、Docs、Slides、Google Chatのどれを開いていても、そのアプリを離れずに別の書類を頼めるようになります。これまでは、書類を作るならDocsの中で、表を作るならSheetsの中でと、アプリごとに頼み先が分かれていました。それが一本につながった、という発表です。
何が変わるのか、短く
発表で挙がった仕事は五つです。Gmailにいたまま企画書やスライドを作る。長いフォルダやスレッドに散らばった情報を、出典つきの要約にまとめる。メモや書類をもとにメールの下書きを作り、Gmailに下書きとして開くか、そのまま送る。空き時間を探して会議を入れ、予定の重なりを直す。やることを書き留めて、Google Tasksに登録する。作った書類はDriveに保存されます。
つまり、これまで人がアプリの間を運んでいた荷物を、Geminiが運ぶ、ということです。
で、あなたの会社はどうすればいい
ここで一つ、線を引いておきます。この機能は提供が始まったばかりで、発表には「当面は英語のみ。ほかの言語は今後追加する予定」と書かれています。つまり日本語の現場では、まだ使えるものではありません。だから今日の話は、道具の紹介ではなく備えの話です。
備えといっても、大げさなことではありません。あなたの会社で毎日起きている「アプリの往復」を、一つ思い出して紙に書くだけです。見積メールを開いて、内容をExcel相当の表に写して、返信を書く。そういう往復が、たぶん誰の机にもあります。まとめ役に任せるとしたら最初はどれか。それが決まっていれば、日本語対応が来た日に迷いません。
もう一つ、発表には「送信や会議設定のように外に影響する操作は、確認用のカードを出して、人が見て直して確定してから実行する」とあります。頼んだ瞬間に勝手にメールが飛ぶ設計ではない、ということです。任せることに不安がある人ほど、この一点は先に知っておくと落ち着きます。RASHINの見立てでは、AIに仕事を渡すときの分かれ目は、賢さより「止める場所が用意されているか」です。
試してみるなら
まず、日本語でも今日できることから。紙かメモ帳に、こう書いてみてください。「Gmailで受け取る→( )に写す→( )を作る」。この往復を三つ書き出すと、まとめ役に最初に渡す仕事の順番が見えます。
英語で仕事を進められて、対象プランを使っている人は、発表の文例をそのまま試せます。Gmailの横のパネルで「Create a strategy brief for this project with goals, milestones and next steps.」と入力してみてください。開いているメールの内容から、企画書のたたき台がDocsにできます。日本語では今は動かない点だけ、頭に置いておいてください。
つまずきの先回り
- 言語。冒頭のとおり、始まりは英語のみです。日本語で頼んでも今は期待どおりに動きません。「予定」として待つのが正解です。
- プランの差。使えるのはBusinessのStandardとPlus、EnterpriseのStandardとPlus、個人向けはGoogle AI ProとUltraなどです。ただし個人向けのAI Proでは、会議を入れる機能だけ対象外と発表にあります。自社のプランで何が対象かは、契約内容と照らして確かめてください。
- 表示までの時間差。提供は9月2日から段階的に始まり、機能が見えるまで最大15日かかると書かれています。今日見えなくても、不具合とは限りません。
- 見える範囲。Geminiは、あなたが見られる書類しか見られない、と発表にあります。権限のないフォルダの中身は、頼んでも出てきません。ここは安心材料でもあり、期待しすぎない材料でもあります。
明日できる小ささは、往復を一つ書き出すこと。それだけで、順番待ちの列の先頭が決まります。
出典(一次情報):Google Workspace Updates(2026年9月9日)