得意なのは、材料を渡せる仕事

AIが得意なのは、こちらが材料を渡せる仕事です。会議のメモを渡して議事録に。過去の見積書を渡して新しい下書きに。長い資料を渡して要約に。材料の形を変える仕事は、安心して任せられる領域です。

苦手その一。材料がどこにもない仕事

「うちの会社の来期の方針を決めて」のような、答えの材料が世界のどこにも書かれていない仕事は苦手です。それらしい一般論は返ってきますが、あなたの会社の事情は、伝えていない限りAIは知りません。

この場合は、頼み方を変えると景色が変わります。決めるのはこちらの仕事のまま、「決めるために比べる材料を並べて」と頼む。判断の一歩手前までを手伝わせる使い方なら、AIの得意側に入ります。

苦手その二。正確さが命の計算と最新の事実

桁の多い集計や在庫の計算は、AIの読み書きの仕組みと相性が悪く、エクセルの関数のほうがずっと確実です。また、今日の為替や最新の制度のような動く事実は、調べる機能を使わない限り、AIの知識は少し前で止まっています。見積もりの合計が合わない、という相談は実際に多い例です。計算はエクセルに、文章はAIに。持ち場を分けるだけで防げます。

苦手その三。責任を取ること

最後にこれだけは仕組み以前の話です。AIは間違えても謝るだけで、責任は取れません。お客様に出すもの、お金と法律に関わるものの最終確認は、人の持ち場として残ります。

これは何を意味しないか

苦手があることは、危ないから触らないほうがいい、という意味ではありません。包丁にも苦手な作業があるのと同じで、持ち場が分かれば安全に使えます。得意な持ち場(材料の形を変える仕事)だけでも、事務仕事の景色は変わります。

明日できる小ささ

いまAIに頼もうとしていることをひとつ思い浮かべて、「材料を自分は渡せるか」と自問してみてください。渡せるなら任せどき、渡せないなら、まず材料集めが先です。