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パソコンのOS。会社のホームページ。予約フォーム。経理のクラウド。どれも誰かが書いたソフトウェアで動いています。そのどこかに、思わぬ穴が隠れていることがある。侵入や情報の流出は、たいていその穴から起きます。でも、自社がどんなソフトを使っていて、穴を誰が塞いでいるのか。すぐに答えられる中小企業は、そう多くありません。

2026年10月28日、GoogleがGemini 4 Carbonを発表しました(Googleの発表)。同社が「最も強い」と呼ぶ最新のモデルで、強みはセキュリティ防御と、長い時間がかかる作業を途中で投げ出さずに続ける力だと説明しています。2週間前に出たGemini 4 Argonの次にあたり、この速さそのものが話題になりました。

Gemini 4 Carbonは、ソフトウェアに潜む穴を自分で見つけ出す力で、公開されている指標のひとつSEC-bench Proで88.2%という値を出した、とGoogleは書いています。見つけた穴が実際に悪用できるかを確かめる試験でも、根っこの原因を直すコードを書く試験でも、同社は高い数字を挙げています。平たく言えば、プログラムを読んで危ない箇所を探し、直し方まで示すところまでを、一つのAIがこなし始めた、ということです。

ただし、あなたの会社で今日から使えるわけではありません。Googleはまずこのモデルを一部のセキュリティ防御の担い手に配り、信頼できる相手へ順に広げると説明しています。開発者や企業、一般の利用者に届けるのは「できるだけ早く」とあり、日付は示されていません。日本での提供にも触れていません。だから今日の話は、道具の使い方ではなく、備えの話です。

で、あなたの会社はどうすればいい?

RASHINの見立てでは、Carbonそのものを待つより、先に数えておくほうが効きます。穴を見つける力がここまで上がったという報せを裏返すと、守る側が把握していないソフトほど危うい、という当たり前が重くなる。我々がまず手元でできるのは、自社が外とつながっている持ち物を書き出すことです。ホームページ、予約やお問い合わせのフォーム、ネットにつながる機器。それぞれに「誰が更新を見ているか」を一行だけ添える。これだけで、穴の話が人ごとから自分ごとに変わります。

もうひとつ、発表で目を引いたのは正直さの改善でした。Carbonは根拠のない言い切りを約半分に減らし、わからない点は推測で埋めず、確認してから進むように作ったと説明されています。AIに任せるときに我々が一番こわいのは、それらしい嘘を自信満々で返されること。そこを直しにきたモデルだ、という読み方もできると考えられます。

試してみるなら

Carbonは手元にありませんが、今あるAIでも「数える」の下書きは頼めます。ChatGPTやGeminiに、こう入力してみてください。「中小企業が、外部とつながっているIT資産を棚卸しするためのチェックリストを作って。ホームページ、各種フォーム、クラウドサービス、ネット接続機器の観点で、各項目に『管理者』『最終更新日』『更新の担当』の欄を付けて」。返ってきた表を、自社の実物と突き合わせる。埋まらない欄が、いま手を打つ場所です。

無料でできる範囲で十分です。使っているソフトやサービスの更新のお知らせを、今日ひとつオンにするだけでも前に進みます。

つまずきの先回り

Gemini 4 Carbonは、この記事の時点では開発者や企業向けには配られていません。先行して受け取るのは、セキュリティ防御の担い手の一部です。「もう使える」という前提の案内を見かけたら、提供の範囲を確かめてください。

価格の目安も、今は開発者がAPIという仕組みで使うときの単価として示されたものです。入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドル、いずれも導入時の価格だとGoogleは書いています。アプリを月いくらで使う、という家計の数字ではありません。混同すると見積もりがずれます。

棚卸しの表をAIに作らせるときは、社名やIPアドレス、パスワードといった実データを打ち込まないこと。あくまで空欄の表を作らせ、中身は社内で埋める。穴を数えるための表に、穴になりかねない情報を入れては元も子もありません。

最新モデルの速さに、こちらが走って合わせる必要はありません。我々にできる一番小さな一歩は、紙一枚に「外とつながっている持ち物」を三つだけ書き出すこと。続きは明日でいい。

出典(一次情報):Gemini 4 Carbon: our next frontier model(Google公式ブログ)