メールの下書きをGeminiに頼むたび、同じ注文を書き足していませんか。「かたい敬語で」「箇条書きにしないで」「三行で短く」。中身は毎回ちがうのに、頼み方の前置きだけは、いつも同じ。その一行を打つ数秒が、一日に何度も積み上がります。
Googleが9月2日、Google WorkspaceのGeminiで「覚えさせておける頼み方」を使える場所を増やした、と発表しました。これまでGoogleドキュメントだけだった設定が、Driveの「Ask Gemini」、Chatの「Ask Gemini」、そしてGmail・Sheets・Slidesのサイドパネルまで広がりました。一度、好みを登録しておけば、会話のたびに書き直さなくても、Geminiがその調子や体裁に合わせてくれる、という機能です(Google公式の告知)。
で、あなたの会社は何が変わるか
目新しい能力が増えたわけではありません。増えたのは「毎回言い直す手間が消える場所」です。ここが効きます。
小さな会社では、一人が何役もこなします。Gmailで返信を下書きし、Sheetsで見積の文言を整え、Slidesで一枚だけ資料を作る。使うアプリはバラバラでも、あなたが求める文の調子はたいてい同じはずです。その「いつもの調子」を一度書いておけば、アプリをまたいでGeminiが同じ体裁で返してくれる。同じ注文を三つのアプリで打ち直す必要が、なくなると考えられます。
もう一つ、地味ですが大きい点があります。今回の設定には管理者向けの操作がありません。つまり、情シス役の人が全社設定をいじる前でも、使う本人がその場で登録して始められる、ということです。ひとりで何でも回している会社ほど、この「待たずに始められる」は効いてきます。
ただし、この登録はあくまで一人ひとりの好みです。会社全体の文章の型を上から一括で配る仕組みではない点は、押さえておいてください。裏を返せば、覚えた好みは席ではなく人についてきます。担当が変わっても、新しい担当が自分の一行を書けば、その人のいつもの調子がまた戻る。設定は個人単位だからこそ、身軽だとも言えます。
試してみるなら
まずは一つだけ、いつもの頼み方を覚えさせてみてください。
- Gmailやドキュメントのサイドパネル、またはDrive・Chatの「Ask Gemini」を開いて、こう入力してみてください。「これからは、返信メールはですます調で、三行以内、箇条書きなしで書いて。この指示を覚えておいて」。次からは前置きなしで「この問い合わせに返信して」だけで済みます。
- 登録した指示を見直したいときは、ハンバーガーメニュー(横三本線)から「設定」→「パーソナライズ(Personalization)」を開きます。「Your Instructions for Gemini in Workspace」に、覚えさせた内容が並びます。
- 最初は一行だけにしておくのがおすすめです。まずGmailの下書きで効き目を確かめてから、少しずつ足す。いきなり十個並べると、どれが効いているのか分からなくなります。
つまずきの先回り
来週つまずきそうな点を、先に三つ。
- 今日開いても、まだ出ていないかもしれません。Googleは9月2日から段階的に配信するとしており、表示されるまで最大15日かかる、と書いています。見当たらなくても、あわてず数日待ってください。
- 使えるかどうかは、契約している場所しだいです。今回の対象は、Drive・ChatのAsk Geminiや、Gmail・Sheets・SlidesのGeminiサイドパネルが使えるWorkspace。自社のプランでこれらが有効かは、一度確かめておくと安心です。
- 覚えた指示は、どこでも効いてしまいます。「いつも箇条書きで」を登録すると、かしこまった詫び状まで箇条書きになりかねません。場面に合わない指示は、パーソナライズ設定から外す。この後始末を忘れずに。
明日できる小ささで言えば、たった一行です。あなたが毎回打っている「いつもの前置き」を、今日ひとつだけGeminiに預けてみる。それだけで、明日からの数秒が返ってきます。
出典(一次情報):Google Workspace Updates(Google公式)