これまでのAIは「聞くと、答える」

ChatGPTのようなAIは、こちらが文章で質問すると、文章で答えを返してくれます。一往復ずつです。「この文を短くして」と頼めば短くしてくれて、その次にどうするかは、また人が指示します。キャッチボールに近い形です。

エージェントは「頼むと、進める」

エージェントと呼ばれるAIは、ひとつの頼みごとを受け取ると、自分で段取りを考えて、いくつもの手順を続けて進めます。

たとえば「この資料の内容を表にまとめて」と頼んだとします。資料を読む、必要な項目を拾う、表の形にする、体裁を整える。これまで一往復ずつ人が指示していた流れを、通しで進めてくれるのがエージェントです。頼み方が「一手ずつ」から「ひとまとまり」に変わる、と考えると近いです。

身近な例だと、会議の録音を渡して「要点と宿題の一覧まで作って」と頼むような形です。聞き起こす、要点をまとめる、宿題を拾い出す。三つの手順がひとつの頼みごとで済みます。

なぜ今、この言葉が増えているのか

AIの会社各社が、この数ヶ月でエージェント型の機能を次々に発表しているためです。仕事の道具に組み込まれるものも増えてきました。

とはいえ、言葉がニュースに増えただけで、読者のみなさんが今日なにかを変える必要はありません。これまで通りの一往復の使い方も、なくなりません。

これは何を意味しないか

「全部お任せで仕事が終わる」ということではありません。エージェントが進めた結果を確認して、間違いを直して、最後に責任を持つのは、変わらず人の仕事です。

任せられる範囲が一往復からひとまとまりに広がった。それが誇張のない言い方です。ひとまとまりを任せるぶん、最初の頼み方と最後の確認が、これまでより大事になります。

明日できる小ささ

いま自分がAIに頼んでいることをひとつ思い浮かべて、「その前後の手順まで含めて頼むなら、どう言うか」を一行だけメモしてみてください。それが、働くAIの時代の頼み方の練習になります。