「来客の人数はまだ決まってないけど、だいたいの仕入れを出しておいて」。そう頼まれた担当者は、まず表を作り、人数を変えては計算し直す。ChatGPTに同じことを頼んでも、これまでは長い文章が返ってきた。答えは出るのに、そこから必要な数字を拾ってExcelに打ち直す一手間が、いつも最後に残っていた。
OpenAIは10月7日、ChatGPTの新しい土台となるGPT-6と、「Intelligent UI」という機能を、より多くの人に広げると発表しました。Intelligent UIは、質問に応じて、文章だけでなくボタンやフォーム、グラフ、その場で動く小さな道具を混ぜて返す仕組みです。週に12億人以上が使うChatGPT向けに作った新しいGPT-6モデルで動く、とされています。
答えが「読むもの」から「使うもの」に近づく
今までのChatGPTは、何を聞いても長い文章で返ってきました。今回の変化は、その答えの形そのものに手が入った、という点です。発表では、献立の分量を人数のつまみで変えられる表や、夕食の割り勘を出す計算ツール、貯金の伸びを試す電卓を、質問するだけでその場に作れる例が挙がっています。
あなたの会社の仕事に引き寄せると、「文章で説明されても結局そのあと表計算に入力し直す」という、あの一手間が減る見込みがあります。見積もりの下書き、仕入れ量の試算、簡単な料金の割り振り。こうした「数字を少しいじって確かめたい」場面で、答えがそのまま触れる画面で返ってくるなら、拾い直す手間の分だけ時間が浮くと考えられます。たとえば人数を一つ動かすたびに分量が変わる表が返れば、来客が五人でも八人でも、同じ画面の上で確かめられます。
見逃せないのは、届く範囲です。発表では、週に12億人以上が使うChatGPT向けのモデルとされ、有料だけでなく無料プランにも広がると書かれています。多くの小さな会社が触っているのは無料のChatGPTです。つまり、追加の費用を払わない人のところにも、この新しい答えの形が順に届く、ということです。
もう一つ、答えの速さにも手が入りました。GPT-6は、考え終わるのを待たずに答え始められるようになり、ウェブ検索が要る質問では、GPT-6 Instantが前のGPT-5.6 Instantより平均で44%早く答え始める、とされています。調べ物を挟む質問を一日に何度も投げる人ほど、待ち時間の体感は変わってくるはずです。
試してみるなら
まずChatGPTのChat(チャット)タブで、こう頼んでみてください。
- 「来客◯人分の飲み物とおつまみの仕入れ量を、人数を変えられる形で出して」と入力してみてください。人数のつまみを動かして数字が変わる形で返ってくれば、Intelligent UIが効いています。
- 「この金額を参加人数で割り勘する簡単な計算ツールにして」と頼むと、その場で使える電卓の形で返ります。
有料のPlus・Pro・Business・Enterpriseでは10月7日から順次、無料プランとGoプランにはその翌日から広がる、と発表されています。まだ文章でしか返らない場合は、数日おいてもう一度試すのがよさそうです。
つまずきの先回り
- 今回変わるのはChatGPTの「Chat」の体験です。発表では、業務向けのWorkやプログラミング向けのCodexを動かすモデルは今回は変えない、とされています。業務ツールとして組み込んでいる場合は、同じ変化がすぐ来るとは限りません。
- 無料・Goの土台はGPT-6 Luna、有料はGPT-6 Solと、動かすモデルが分かれます。同じ「GPT-6」でも段が違う点は頭に入れておくとよさそうです。企業向けは管理者の設定しだいで使えるかが決まる、とも書かれています。
- 画面を作る賢さはまだ育っている途中だと、発表自身が認めています。毎回うまい形で返るとは限らないので、大事な数字は返ってきた画面を鵜呑みにせず、一度は自分で検算するのが安全です。
新しい段が来たからといって、今日から仕事の全部を作り替える必要はありません。RASHINの見立てでは、まずは「いつも表計算に打ち直していた小さな試算」を一つ選び、それをChatGPTに画面ごと頼んでみる。明日できるのは、その一つの置き換えを試すところまでで十分です。