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見積りの文面、問い合わせへの返信、求人の下書き。AIに手伝ってもらう仕事が、少しずつ増えてきた会社も多いと思います。便利になるほど、ひとつ気になることが残ります。その答えを、最後に誰が見ているのか。

Anthropicが10月8日、Claudeの利用ポリシーを更新しました。新しいポリシーが効くのは11月12日からです。同社の説明では、今回の変更の多くは新しい禁止事項ではなく、これまでのルールを分かりやすく書き直したものだとされています。この一年でClaudeがより長く、より自分で進める仕事を任されるようになったので、その新しい力にルールがどう当てはまるかを例で示した、という位置づけです。

では、つくばの会社にとってどこが効いてくるか。一番近いのは、重い判断をあつかう節です。

健康・お金・仕事に関わる使い方には、人の最終確認が要る

Anthropicは、人の健康・法的な権利・お金・暮らし・生活に欠かせないサービスに関わる形でClaudeを使うときは、資格のある「人の最終確認」を置くことを求めています。ここで言う人とは、Claudeの答えを見直し、必要なら変える権限を持った人のことです。そのうえで、影響を受ける本人に、AIを使ったと伝えることも求めています。

ここが今回の読みどころです。この要件そのものは前のポリシーから変わっていません。変わったのは、どんな使い方がこの要件に当たるのかを、はっきり並べて書き直したこと。「これは当てはまるのか」という問い合わせが多かったからだ、とAnthropicは説明しています。

健康相談への返答、融資や与信の見立て、採用の合否、公的な手続きの案内。こうした場面で、AIの下書きをそのまま相手に渡していないか。それを見直す合図として読めます。RASHINの見立てでは、ここは「AIを使うな」という話ではなく、「人が最後に見て、使ったと一言そえればいい」という話です。だから小さく始められます。

身元を偽る使い方は、ひとまとめで禁止に

もうひとつ、今回は偽りの発信を禁じる節が、新しく一本にまとまりました。名前は Do Not Engage in Deceptive Campaigns or Artificial Activity。偽アカウントや作り物のニュースサイトで、誰が発信しているかを隠したり、投稿を水増ししたりする行為が対象です。Anthropicによれば、以前から禁止していた内容を、選挙・詐欺・個人情報など散らばっていた節から、一つに集め直したものです。発信の道具や仕組みを作ること自体も含む、と書かれています。

口コミの自演やサクラ投稿を外注しようか、と一度でも迷ったことがある会社には、はっきりした線引きとして届く一文だと思います。評判は時間で積むもので、水増しで前借りするものではない。そう念を押された格好です。

試してみるなら

  • まず、自社でAIに手伝わせている仕事を紙に書き出してみてください。そのうち、相手の健康・お金・仕事・権利に関わるものに丸をつける。丸のついた仕事には、下書きを見直して必要なら直す人を、一人決めておきます。
  • Claudeにこう頼むのも手です。「次の業務のうち、人の最終確認が必要になりそうなものはどれですか。理由を一行ずつ挙げてください」と入力し、続けて自社の業務の一覧を貼る。あたりをつける下調べに使えます。
  • 本人に伝える一文は、定型にしておくと楽です。「この回答の下書きにAIを使い、担当の◯◯が確認しました」。返信の末尾に足せる長さで十分です。

つまずきの先回り

  • 新しいポリシーが効くのは11月12日からです。今日からすぐ何かを止める必要はありません。ただ、今のうちに「最後に誰が見るか」を決めておくと、慌てずにすみます。
  • 「人の最終確認」は、ただ目を通すことではありません。Anthropicの定義では、答えを変える権限を持った人のことです。権限のない人が形だけ確認しても、趣旨からは外れます。
  • 今回の多くは明確化で、新しい禁止ではない、という点も押さえておくと安心です。すでにまっとうに使っていれば、やることは見直しと一言そえることくらいに収まります。
  • 提供地域についての節も整理されましたが、日本は対象地域なので、ふだんの業務で使う分には影響しません。

重い判断にだけ、人の最終確認を一人。明日の朝、それを決めるところから始められます。

出典(一次情報):Anthropic