午前中に席を外して戻ると、チャンネルの未読が数十件。読み終える前に、次の打ち合わせが始まる。誰かが「結局どうなったの」と聞き、誰も一言で答えられない。小さな会社ほど、この「長いスレを誰が読むか」問題は日常です。読む人はいつも同じ一人で、その人が休むと会話が止まる。
OpenAIが9月29日のDevDay 2026で、SlackとMicrosoft Teamsの中で@ChatGPTと呼べる仕組みを発表しました(DevDay 2026 の振り返り)。チャンネルやスレッド、DMで@ChatGPTとメンションすると、議論をプロジェクトの概要にまとめたり、顧客向けの最新情報を毎朝投稿したりできる、と説明されています。今までは会話をコピーして別のタブのChatGPTに貼り、答えをまた戻す往復が要りました。その往復が、会話の場の中で一回のメンションになる、という話です。
RASHINが目を留めたのは、機能そのものより、その隣にある一文です。発表には、チームメンバーは個別のChatGPTライセンスがなくても、同じ会話の中で背景情報を足して成果物をより良くできる、とあります。ここが、つくばの小さな会社にとっての本題だと考えます。
全員分の席を買わなくていい、という意味
新しい道具を入れるとき、多くの会社が最初につまずくのは「誰の分を契約するか」です。五人の会社で、AIを使うのが一人か二人だと分かっていても、全員が同じ会話にいる以上、置いていかれる人が出る。だから結局、様子見のまま何も入れない。
今回の作りは、その計算を少し変えます。@ChatGPTに答えさせる会話に、ライセンスを持たない同僚も同じチャンネルで加わり、「この件はA社ではなくB社の話」と背景を一言足せる。呼び出すのは契約している人、事実を補うのは現場を知っている人、という分け方ができます。全員分の席を先に買わなくても、チーム全体で使い始められる余地がある、と読めます。断定はできませんが、導入の入口が一段低くなる方向の変化だと考えられます。
もう一つ地味に効くのは、道具を移さなくていいことです。要約のためにSlackを離れてブラウザを開き、また戻る。この移動が一日に何度もあると、それ自体が仕事の中断になります。会話の場に居たまま頼めるなら、中断が減ります。
発表では、顧客向けの最新情報を毎朝投稿する、という使い方も挙げられています。小さな会社なら、毎朝の朝礼メモや、常連客向けの一言連絡を思い浮かべると近いはずです。定型で繰り返す短い投稿ほど、頼み方を一度決めれば効く。逆に、判断が要る内容や込み入った相談は、まだ人が主で進めたほうが安全です。任せる仕事と抱える仕事を分ける、その線引きが最初の仕事になります。
試してみるなら
まず、あなたの会社のSlackかTeamsで@ChatGPTが使える状態か、管理者に確認してください。使えるのは接続を管理者が設定したツールと、自分が権限を付けたツールの範囲です。整っていれば、長いスレッドの末尾で次のように呼んでみてください。
- 「@ChatGPT このスレッドを、決まったこと・保留・次にやることの三つに分けて、それぞれ二行でまとめて」
- 「@ChatGPT ここまでの話を、来週の打ち合わせに出す一枚の要点メモにして。専門語は使わないで」
いきなり本番の顧客チャンネルで試さず、社内の雑談チャンネルや過去の終わったスレッドで一度試すと、癖が分かって安心です。
つまずきの先回り
- 使えるのはBusinessとEnterpriseのプランだと発表に明記されています。個人向けの無料プランや手元のアプリでは、この@メンションの形はそのままでは使えません。自社の契約がどれかを先に見てください。
- 提供の範囲や日本での利用可否は発表文に地域の記載がありません。試す前に、自社の管理画面で実際にこの機能が出るかを確かめるのが早道です。
- @ChatGPTが読めるのは、接続されたツールと権限の範囲だけです。つないでいない場所の情報は答えに出ません。逆に、つないだ場所は見えるということでもあるので、顧客情報を含むチャンネルでどこまで許すかは、最初に社内で線を引いておくと後で困りません。
- 要約は下書きです。決まったことの確認や社外へ出す文面は、人が最後に目を通す。ここを飛ばすと、間違いがそのまま外に出ます。
今日できる小ささは、契約プランの確認と、終わったスレッド一本での試し呼び出しです。全社導入の前に、その一回だけ。
出典(一次情報):DevDay 2026 の振り返り(OpenAI公式)