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つくばで会社をやっていると、取引先の名刺に研究機関の名前が並ぶのは珍しくない。共同研究の相手だったり、前にいた研究室のつながりだったり。社長自身が大学の席と会社の席を両方持っている、ということもある。だから今日の発表は、他の街より少し近いところで鳴っている。

Anthropicが8月27日、科学者向けにClaudeの席を1万人分開けると発表した。標準の席は無料、使用量が5倍の上位席が月額15ドル。期間は1年間で、新しい「科学者向けClaudeチームプラン」として出す。登録には認証フォームが要り、資格は大学か非営利の研究機関に所属する研究責任者(PI、研究の主担当のこと)またはそれに相当する立場に限られる。研究室の主が申し込み、そこに研究者を足していく形だ。同社は今後の数か月で、この1万席をさらに広げる意向も示している。

まず、身近に該当する人がいないか

最初にやるのは、無理に自社を当てはめることではない。あなたの会社の周りに、この資格に当てはまる人がいないかを見ることだ。役員が大学のポストを兼ねている。非営利の研究組織と一緒に何かを走らせている。創業のもとが研究室だった。そういう入口があれば、無料の標準席はそのまま経費が浮く話になる。当てはまらなければ、そこで一度止めていい。合わないものを追いかける必要はない。

それでも、当てはまらない会社にも読み取れることがある。今回の値段は「何をするか」ではなく「誰か」で決まっている。研究責任者だと認証できれば無料、という値付けだ。AIの世界では、教師向け・学生向けと、この「立場で値段が変わる枠」が続けて出てきている。RASHINの見立てでは、次にどれかのAIを契約する前に、自分や社員の立場で使える無料・割引の枠が無いかを一度調べる、という数分が、これから効いてくる。フルの料金を先に払う前の、五分の確認だ。

「立場」は、思っているより身近に転がっている。社員が働きながら大学院に籍を置いている。顧問に大学のポストを持つ人がいる。非営利の研究団体に会費を払って加わっている。今回の枠に直接は届かなくても、こうした立場は、AIに限らず割引や無料の入口になっていることがある。つくばは、その手の立場を持つ人が近くにいる街だと考えられます。誰が何の立場を持っているかを社内で一度洗い出しておくと、次にお金を払う場面で選べる幅が変わる。

試してみるなら

該当しそうなら、発表ページの認証フォームから所属機関と立場を登録して、標準席(無料)を申し込む。もっと使う見込みがあるなら、AI for Scienceプログラムに申請する道もある。1プロジェクトあたり最大5万ドルのクレジットで、応募は研究者なら誰でもできる、と書かれている。対象は生物学が中心だったが、今回ほかの科学分野にも広げようとしている。

申し込む前に手元に用意しておくと早いのは、所属機関の名前と、自分がその機関でどんな立場かが分かるものだ。認証フォームは「その人が本当に研究責任者か」を確かめる作りなので、立場を示せる情報がそろっているほど話が進む。

席が取れて最初の一手に迷ったら、手元の資料でこう頼んでみてください。「次の資料の要点を、専門外の役員にも分かる日本語で5行にまとめて。数値は原文のまま残して」と入力してみてください。読む係をAIに一度やらせて、手応えを見る使い方だ。長い報告書や仕様書を渡す相手が社内にいない、という会社ほど、この一手は効く。

つまずきの先回り

一つ目、資格の壁。無料席は研究責任者(PI)かそれに相当する立場で、大学・非営利の研究機関に所属していることが条件になる。一般の中小企業がそのまま無料で使える枠ではない。ここを勘違いすると、申し込んで弾かれて終わる。

二つ目、分野の制限。生物と化学の研究では、使えるモデルに制限が残るとされている。専門的な生物・創薬の問い合わせは一部のモデルで止まる作りだ。研究のすべてが同じ条件で開くわけではない、と見ておく。

三つ目、期限と範囲。無料は1年間。1万席を超えて広げるのは今後の数か月の予定で、すぐに誰にでも開く、とは書かれていない。使うなら、期限のある枠として扱う。明日できる小ささは、名刺入れを一度見返して、研究機関の名前が刷られた一枚を探すこと。そこから先の話だ。

出典(一次情報):科学者支援の拡大(Anthropic公式)