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ソフトの費用は、長いあいだ読みやすいものでした。一人あたり月いくら。人数を掛ければ、来月の請求書がだいたい見える。だから予算も立てやすかった。ところがAIを同じ感覚で入れると、月末に「あれ、こんな額になるのか」と手が止まることがあります。使い方は人によって違うのに、費用だけ人数割りで見積もっていた。ここに、これまでとは違う考え方が要ります。

2026年9月23日、MicrosoftでAI at Workの最高マーケティング責任者(CMO)を務める Jared Spataro が、Copilotのブログに顧客へ宛てた文章を出しました(発表)。中心にあるのは費用の話です。この20年、業務ソフトは「一人あたり定額(USL、社員一人につき月額いくら)」で読めました。使っても使わなくても同じ額です。ところがエージェント(AIが自分で段取りして仕事を進める仕組み)はそうはいきません。長くかかる仕事は量がばらつくので、定額では吸収しきれない。そこで「使った分だけ払う(UBB、こなした仕事の量に応じた課金)」がもう一本立ち上がる、という指摘です。

で、あなたの会社はどうすればいい

まず、この二つの費用を混ぜて考えないことだと考えられます。定額のほうは「全員がAIに触れる入口」の値段。使った分のほうは「AIにやらせた仕事の量」の値段です。性格が違うので、片方の感覚でもう片方を見積もると外します。Spataro は、使った分の費用は経費ではなく、能力に投じる資本だと書いています。人を一人増やすのと同じ種類の投資だ、と。この見方に立つと、判断の物差しが「安いか高いか」から「その仕事に投じる価値があるか」に変わります。

もう一つ。Microsoftは、費用の行き先を全部見えるようにして、請求書が来る前に上限を決められるようにした、と説明しています。ここは中小企業ほど効くところだと考えられます。青天井が怖くて踏み出せない、というよくある足踏みを外せるからです。ただし、こうした仕組み(Copilot Credits という共通の単位で、使った分をまとめて数える、など)は海外の企業向けの説明で、日本の中小がどの契約でどこまで使えるかは、これから確かめる話です。だから今日の宿題は導入ではなく、費用の見方を先に二つに分けておくことです。

試してみるなら

  • いま払っているソフトを紙に並べ、それぞれ「人数割り(定額)」か「使った分」かで印を付けてみてください。今はほぼ全部が定額のはずです。AIを入れると、ここに「使った分」の列が増える。そう先に知っておくだけで、身構えが変わります。
  • AIに任せたい作業を一つ選び、「この作業に、月いくらまでなら投じる価値があるか」を一行で書いてみる。金額そのものより、上限を先に言葉にしておくことが効きます。
  • Copilot をすでに使っているなら、費用の管理画面に「使った分」を見る場所と、上限を決める場所があるかを探してみてください。見当たらなければ、契約の窓口に「上限は請求の前に決められるか」を尋ねる。それだけで安心して試せます。

つまずきの先回り

  • 定額の感覚のまま「使った分」を見積もると、月末に驚きます。人数ではなく、こなした仕事の量で増える費用だからです。先に上限を決めるのは、けちるためではなく、安心して踏み出すためです。
  • この文章は、Microsoftが自社のCopilotについて書いたものです。同じ考え方は他社のAIにも当てはまりますが、料金の単位や名前(Copilot Credits など)は会社ごとに違います。名前に振り回されず、「定額か、使った分か」の二つの軸で見ると迷いません。
  • 日本での提供や料金は、この文章には書かれていません。実際の契約や金額は、いま付き合いのある窓口で確かめてから決めてください。海外向けの説明をそのまま自社の値段だと思い込まないことです。

今日できるのは、AIを契約することではありません。いま払っているソフトを一つ選び、「人数割りか、使った分か」で印を付けること。その一手間が、AIの費用で驚かないための、いちばん安い保険になります。書き出した紙は、いざ導入を決めるときの、見積もりの下敷きにもなります。

出典(一次情報):Building the system for AI at work(Microsoft公式)