自社のために、ちょっとした道具をひとつ持ちたい。そう思ったまま、半年が過ぎていないでしょうか。配送できる地域をその場で確かめられる小窓。概算の見積もりを返す簡単な計算機。問い合わせの前に、よくある質問を自分でたどれる小さな画面。頭には浮かぶのに、業者に頼むほどの話でもなく、かといって自分でコードを書く時間もない。だから結局、電話とメールで同じ説明を繰り返している。
Googleが10月19日、Gemini appで作った対話型アプリを、Google Sitesにそのまま書き出せるようにしたと発表しました(Google Workspace Updates)。Gemini appで作ったアプリの画面で、書き出し先にGoogle Sitesを選ぶ。それだけで、非公開の下書きサイトがひとつできます。中身は対話型のまま動く。あとは文言や見た目を整えて公開すれば、ほかのGoogleサイトと同じように共有できる。発表文には、コードをコピーする必要も、作り直す必要もない、とあります。Rapid Release・Scheduled Releaseドメインでは、web・Android・iOSで提供が始まっています。
外注の前に、自分で一画を作ってみる
これまで、小さな道具を自社サイトに載せる話は、たいてい途中で止まっていました。止まっていた場所は「作る」ところではなく、「サイトに載せる」ところです。作りたいものは言葉で説明できる。でも、それをWebページに組み込む段になると、業者への依頼か、コードを触る作業が挟まる。そこで案件が一段重くなり、後回しになる。
今回変わったのは、この「挟まる一段」が外れたことだと考えられます。Gemini appに話しかけて小さな道具を作り、その場からGoogle Sitesへ書き出す。間に人を挟まないぶん、思いついたその日のうちに下書きまで進められる。RASHINの見立てでは、つくばの会社にとっての値打ちは、派手な新機能そのものより、この「後回しの常連だった作業が、自分の手の内に戻ってくる」ところにあります。
誤解しないでおきたいのは、これは立派なシステムを無料で持てる、という話ではない点です。できるのは、あくまで小さな道具を一つ、新しいサイトとして公開すること。でも、その小さな一つが、電話口で毎回していた同じ説明を一本減らすなら、割に合います。大きく構えず、今いちばん手間になっている説明を一つだけ選ぶ。そこが入り口です。
試してみるなら
まずGemini appに、作りたい道具を日常の言葉で頼みます。たとえばこう入力してみてください。
- 「郵便番号を入れると『配送対応』『要相談』『対象外』のどれかを返す、小さな確認ツールを作ってください。見た目はシンプルに、スマホでも押しやすく」
画面に道具ができたら、そのアプリの書き出し(Export)からGoogle Sitesを選びます。非公開の下書きサイトが開くので、会社の言葉づかいに直し、色や並びを整える。ここまでは公開ボタンを押さずに進められます。社内で一度見てもらってから、公開するかを決めればいい。
個人のGoogleアカウントでも、Gemini appが使える人なら試せます。会社でGoogle Workspaceを契約していなくても、まず手元のアカウントで一つ作ってみて、使えそうか肌で確かめる。その順番で十分です。
つまずきの先回り
ひとつ目は、会社のアカウントでの権限です。Google Workspaceを使っている場合、管理者がGoogle Sitesをオンにして、サイトの作成と編集を許可していないと書き出せません。これは発表文にも明記されています。情シス担当や契約者がいるなら、先に一言確認しておくと、作ったあとで止まらずに済みます。
ふたつ目は、中身の確かめです。Geminiが作った道具をそのまま公開するということは、その道具の答えを自社が名乗る、ということでもあります。計算のロジックや、返ってくる文言がおかしくないか。公開の前に、極端な数字や想定外の入力をわざと入れて、手で叩いてみてください。ここを飛ばすと、便利な道具が誤案内の窓口に変わりかねません。
みっつ目は、提供の範囲です。今回の書き出しはRapid Release・Scheduled Releaseドメインのweb・Android・iOSで始まっていますが、前提として、Gemini appで対話型アプリを作れる状態であることが要ります。自分の環境でそのアプリ作成までたどり着けるかを、まず一度試しておくと安全です。
明日、いきなり公開しなくて構いません。まずGemini appに、電話でいつも聞かれることを一つだけ、道具にしてもらう。画面ができたら、公開はせず下書きのまま、隣の席の人に見せてみる。反応が良ければ整えて出す。それくらいの小ささから始めるのが、いちばん続きます。
出典(一次情報):Google Workspace Updates(Google公式)