朝、受信トレイを開く。ゆうべ届いた長いやり取りが三本。どこかに「金曜までに見積もりを」と書いてあったはずなのに、どの一通だったか思い出せない。スクロールして探すうちに、次のメールが届く。やることはメールの中に確かにあるのに、拾い出す作業だけで午前が溶ける。これは、多くの会社の受信トレイで毎朝起きている景色です。
10月15日、GoogleがGmailの「AI Inbox」を、有料のGoogle Workspace利用者へ広げると発表しました。できることは二つです。一つは、メールのやり取りに埋もれた action item(やること)や締め切りを自動で拾い出す「Suggested to-dos」。もう一つは、何通にもまたがる話題を要約して、直近の決定や状況の変化だけを追えるようにする「Topics to catch up on」。ただし但し書きがあります。今はアメリカの、言語が英語(EN-US)の利用者だけが対象で、日本ではまだ使えません。
では、まだ手元で動かない道具を、なぜ今の話にするのか。Googleは、対象から外れているStarter系とEducationへは「今後、数か月のうちに」順に広げると書いています。地域や言語の予定までは書かれていませんが、この種の機能が英語圏から時間をかけて広がってきたこれまでの流れを思えば、日本で使える日に備えておく価値はある、とRASHINは考えます。
整えるのは、頼み方ではなく書き方
AIが拾うのは、あくまでメールに書かれている言葉です。「例の件、よろしく」とだけ書かれたメールからは、やることも締め切りも拾えません。逆に言えば、誰が・何を・いつまでにを一文で書いたメールは、人にもAIにも拾われやすい。これはAI Inboxが来る前から効く習慣です。今日から、自分が送るメールの最後に「お願い:◯◯を△△までに」の一行を足すだけで、受け取った相手の受信トレイでも、やがて来るAIの前でも、仕事が流れやすくなります。
もう一つ、自社がどのプランかを確かめておくこと。対象は Business(Starter・Standard・Plus)、Enterprise(Starter・Standard・Plus)、Education(AI Pro for Education)、Frontline Plus です。個人の無料Gmailは入っていません。Starter系とEducationへは後から順に広がると書かれているので、同じ有料プランでも使える時期に差が出ます。
試してみるなら
AI Inbox そのものは日本ではまだ使えませんが、やっていることは今日、手元のAIで真似できます。長いメールのやり取りを一本まるごとコピーして、ChatGPTやGemini、Claudeなどに次のように頼んでみてください。
「このメールのやり取りから、やること・担当・締め切りを箇条書きで抜き出してください。締め切りが書かれていないものは『締め切り不明』と付けてください。」
返ってきた一覧を見れば、自分が見落としていた依頼が一つ二つ見つかるはずです。これを一週間続けると、AIに拾わせる前提でメールを書く感覚がつかめます。
つまずきの先回り
- 日本ではまだ使えません。英語(EN-US)のアメリカの利用者が対象です。日本語のGmailに出てこなくても、不具合ではありません。
- 管理者側の設定はありません。使えるかどうかはプランで決まります。無料の個人Gmailは対象外です。
- 対象のプランでも、すぐには出ないことがあります。Rapid Release は10月12日から、Scheduled Release は10月26日から、どちらも表示まで最大15日かけて段々に広がると書かれています。
- AIが拾うのはメールに書かれた言葉だけです。口約束や、別のチャットで決めたことは拾えません。要点はメール本文に一度書き戻しておくと、後から効きます。
受信トレイのやることを、人が毎朝かき集める。その作業を機械が肩代わりする日は、もう遠くないのかもしれません。今日できる小さな一歩は、送るメールの最後に「お願い」の一行を足すこと。それだけで、受け取る相手の朝が少し軽くなります。
出典(一次情報):Google Workspace Updates(Google公式)