会議で詰まったとき、AIに「どうすればいい」と聞いてみる。それ自体はいい。ただ、返ってきた助言が、どこの何を根拠にしているのか分からないことがあります。もっともらしいけれど、出どころが見えない。だから、そのまま人に見せる気にはなれない。結局あなたが、自分の頭でもう一度考え直す。
9月17日、Googleがそのもやもやをひとつ減らす発表をしました。Expert Intelligence という取り組みで、まずGemini Notebookから始まります。Google Play Booksで買った対応している電子書籍を、そのままGemini Notebookに材料として入れられる。するとAIは、その本の中身に根ざして答えるようになる。ネット全体を漠然と探すのではなく、あなたが選んだ一冊のテキストを土台にする、ということです。対象は大手出版社の本で、10万冊以上。発表では、管理職が「部下への伝え方や、難しい会話の進め方」を、マネジメントの定番書を下敷きにGemini Notebookと相談する例が挙がっています。買った本と、あなた自身のメモや資料を並べて、まとめて尋ねることもできる。詳しくはGoogleの告知にあります。
ここでツクバの中小企業に効くのは、「AIの一般論」から「あなたが選んだ根拠」への切り替えだと、RASHINは見ています。これまでAIに相談すると、答えは世の中の平均値のようなもので、なぜそう言えるのかが霞んでいました。選んだ一冊に土台を置けば、答えの出どころをあなたが決められる。信頼している実務書や、業界の教科書。その中身に沿ってAIが整理してくれるなら、返ってきた話を確かめやすくなると考えられます。丸ごと信じる相手から、突き合わせられる相手へ。付き合い方が一段変わる、というくらいの話です。
気をつけたいのは、提供の範囲です。この機能そのものは、Google Workspaceの利用者でも、個人のGoogleアカウントでも、Gemini Notebook・Google Play・Google Booksが使える状態なら、もう使えると発表にはあります。一方で「一冊を無料で配る」特典のほうは、アメリカの18歳以上、在庫がある間だけ。日本の読者の席は、そこにはありません。使いたい本は自分で買う、が前提になります。
試してみるなら
まず、あなたが仕事で何度も開く本を一冊決めます。棚にある実務書でも、去年うなずきながら読んだ一冊でもいい。それをGoogle Play Booksで見て、対応しているか確かめます。本の詳細ページの「Tools」の印を押して、そこに「Gemini Notebook」と出れば対象です(出ない本は今回は対象外)。手持ちの一冊があればそれで、無ければ買って、Gemini Notebookに材料として入れる。あとは、こう頼んでみてください。
「この本の考え方に沿って、あなたの会社のこの状況にどう当てはめられるか、3案にまとめて」。
自分のメモや議事録も一緒に入れておくと、本の一般論と、あなたの会社の具体が、同じ土俵で混ざります。頼み方は日本語のままでいい。難しい言い回しはいりません。
つまずきの先回り
一つ。この仕組みは、Gemini Notebook・Google Play・Google Booksの三つが有効になっていて、初めて動きます。会社のアカウントで管理者が絞っていると、あなたの画面には出ません。出ないときに上げるべきは声で、押すべきは管理者への一言です。
二つ。使えるのは「対応している本」だけ。10万冊以上あっても、あなたが読みたい実務書がその中にあるとは限りません。買う前に、Google Play Booksの詳細ページで対象かどうかを見る癖をつけると、無駄打ちが減ります。日本語の本がどれだけ含まれるかは、発表には書かれていません。ここは自分の目で確かめる場面です。
三つ。共有した相手と一緒に使うとき、その相手も対応している電子書籍を買っていないと、本に関する質問やまとめは動きません。チームで一冊を回し読み、という使い方はできない設計です。輪読会のように使うなら、各自が対応している電子書籍を持っている前提で考えてください。
明日できる小ささとして、まずは一冊、候補を決めるところまで。買うのは、対象だと確かめてからで間に合います。