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AIに頼むたび、同じ前置きを打ち直していませんか。「文体はやわらかく」「社名はこの表記で」「箇条書きは三つまで」。相手は賢いのに、こちらは毎朝おなじ説明から始める。賢い新人に、毎回いちから自己紹介しているようなものです。

Googleは2026年9月30日、Gemini と Google Workspace に「skills」という仕組みを入れると発表しました(発表)。skills は、よく使う指示をあらかじめ書いておき、Gemini に頼むときに呼び出せる、使い回しのきく指示のことだとGoogleは説明しています。これまでの「Gems」に代わっていく位置づけです。

で、あなたの会社はどうすればいい

Googleの説明では、skills は一つのやり取りの中で複数を重ねて使えます。たとえば「会社の文章の声」の skill と「見積もりの型」の skill を一度に呼べば、いつもの声で、いつもの型の見積もり文が返ってくる、という具合です。

一段だけ先を考えると、これは「会社の決まり文句を一枚にしておく」道具だと言えます。中小企業では、同じ説明を社長が何度も口で伝え、担当が変わるたびにまた一から教え直す、ということが起きがちです。その口伝えの一部を、文章の形で一度だけ書いて置いておける。そう考えられます。

skills は SKILL.md という公開の書式(Markdown という、見出しや箇条書きだけの素直な書き方)で作られているとGoogleは説明しています。だから中身はただのテキストで、ほかの場所で作ったものを貼って持ち込めます。特別な道具は要りません。

使えるようになるのは少し先です。Google の予定では、Workspace では2026年10月5日から、Gemini アプリでは2026年10月13日から、順に配られていきます(どちらも11月半ばごろまでの予定)。日本の Google Workspace でも使える見込みですが、配信の時期は会社によってずれます。

だから今日できるのは、使えるようになる前の下ごしらえです。あなたの会社が毎回AIに伝えている指示を、思い出せるだけ書き出しておく。配られてきたら、それをそのまま skills に移すだけで済みます。書き出す作業そのものが、ふだん頭の中にだけある決まりを言葉にする機会にもなります。

試してみるなら

  • まだ手元に来ていなくても、下書きは今日作れます。メモ帳に、いつもの頼み方を箇条書きで書いてみてください。たとえば「文体はやわらかい敬体」「一文は短く」「専門語は一言で言い換える」。これがそのまま一つ目の skill の中身になります。
  • 今 Gemini や Gems を使っているなら、Gems の指示文をコピーして同じメモに貯めておく。Googleは当面 Gems も使えると説明しています。あわてて消す必要はありません。
  • skills が届いたら、Google Docs の skill builder から作って社内で共有できるとGoogleは説明しています。まずは一番よく使う指示を一つだけ作り、一週間使ってみてください。問い合わせ返信の型などが向いています。

つまずきの先回り

  • Gemini アプリで作った skills は、Workspace のアプリには自動では現れません。両方で使いたいなら、それぞれで作り直す必要があるとGoogleは説明しています。片方で作れば済む、と思い込まないこと。
  • Workspace の skills は18歳以上向けで、Business や Enterprise などのプランが対象です。無料の個人アカウントで使えるのは Gemini アプリ側の skills になります。自社のプランを先に確かめておくと空振りしません。
  • Gems はいずれ使えなくなる予定です。Gems を設定パネルへ移すのが2026年11月17日、作成・編集・利用ができなくなるのは企業向けで2027年3月1日より後、教育向けで2027年6月1日より後、とGoogleは案内しています。まだ先ですが、大事な Gem は skills に写しておくと安心です。

明日できるのは、たぶん三行です。いつもAIに言っている前置きを、三つだけ書き出す。それが、来週から打ち直さずに済む最初の一枚になります。

出典(一次情報):Google Workspace Updates(Google公式ブログ)