商品の説明文を書き、レシートを打ち込み、口コミに返事をする。社員が数人の会社では、こういう細々した仕事が、たいてい営業時間の後に回ってきます。本業は別にあるのに、手の回らない雑務のほうが先に時間を食う。心当たりのある方は多いはずです。
10月20日、GoogleがGeminiに中小企業の経営者向けの新しい道具を加えると発表しました。柱は三つあります。一つ目は、ブランドづくり・お金の整理・顧客の把握を一か所から始められる専用の入り口。二つ目は、自社のサイトやブランドキット、フォント、色の組み合わせをGeminiに覚えさせ、同じ雰囲気の画像を作れる仕組みです(画像生成のNano Banana 2.1と組み合わせます)。三つ目は、ばらばらの表計算やレシート、仕入れの記録を、読みやすいお金の図や触れる試算に変える機能です。発表では、これらは数日かけて、世界のGeminiアプリの利用者へ順に配られていく、とされています。
では、あなたの会社は何をすればいいか。発表に並んだ事例を読むと、派手な話ではありません。フランスの陶芸家は、商品説明やニュースレター、SNSの短い一言をGeminiに任せて、1日に2〜3時間を本業に戻したと紹介されています。アメリカの精肉店は、営業の合間にGoogleビジネスプロフィールとつないで、地域の検索での見え方を確かめている。どれも「全部を変える」ではなく「後回しの雑務を少し軽くする」話です。RASHINの見立てでは、ここで効いてくるのは、Geminiに渡せる自社の素材が手元にそろっているかどうか、だと考えられます。色やロゴ、去年の売上の表が散らばったままだと、道具が届いても噛み合わないからです。逆に、素材さえまとまっていれば、入り口が届いた日からすぐ動けます。発表のお金の機能にしても、変えてくれるのは手元にある表やレシートであって、中身の無いところからは何も出てきません。
連携できる相手も、見慣れた名前が並びます。発表ではGoogleビジネスプロフィール、Google広告、Google Workspaceのほか、Canva、Shopifyといった外部のサービスとつなげるとされています。すでに使っている道具の延長線上に置かれる、という作りです。
試してみるなら
専用の入り口はこれから順に配られるので、今日の時点で見当たらなくても心配はいりません。発表によれば、すでに多くの経営者が、ふつうのGeminiアプリで商品の案出しや顧客の声の整理に使っています。まずはそこから始めれば十分です。
- 商品説明を頼む例。「次の商品を、つくばの個人商店のお客さま向けに、150字くらいの説明文にしてください。箇条書きではなく話し言葉で。商品の特徴はこれです(特徴を貼る)」と入力してみてください。
- お金の整理を頼む例。先月の経費を書いた表をそのまま貼り付け、「この表を費目ごとにまとめて、金額の大きい順に並べ替えてください。気になる増え方があれば一言添えて」と頼みます。出てきた数字は、元の表と見比べてから使ってください。
- 画像の下ごしらえ。自社の色やロゴが決まっているなら、その指定(たとえば基調は紺、差し色は山吹)を一度書き出しておくと、画像を頼むときに毎回説明せずに済みます。
つまずきの先回り
- 配布は数日かけて順に、とされています。発表の日に全員へ一斉には来ません。入り口が出ていなくても不具合ではなく、順番待ちです。
- 専用の入り口や外部アプリとの連携は、使っているプランや地域で見え方が変わることがあります。見当たらないときは、今あるGeminiアプリでできる範囲から始めれば十分です。
- お金の図や試算は、下ごしらえであって答えではありません。Geminiが出した数字は、元の表や通帳と突き合わせてから社外に出してください。桁の取り違えは、作った本人ほど気づきにくいものです。
- 素材をGeminiに覚えさせる前に、取引先の名前や個人の情報が混じっていないかを一度見てください。覚えさせる相手は、社外のサービスです。
明日できる小ささから始めるなら、去年の売上の表を一つ、手の届く場所に置き直すだけでいい。道具が届いたとき、渡せるものが手元にあるかどうかで、差がつきます。
出典(一次情報):New Gemini tools for small business owners(Google公式ブログ)