午前中、見積もりを一本まとめるために、あなたは何回タブを行き来しているでしょうか。顧客の履歴はSalesforceかHubSpot、進み具合はAsanaかMonday、数字はまた別の窓。それぞれを開いて、必要なところをコピーして、Sheetsやメールに貼り直す。作業そのものより、この「取りに行って、戻る」の往復に時間が溶けていきます。手は動いているのに、何も進んでいない感じ。あの時間の正体は、たいていこれです。
Googleは9月15日、Google WorkspaceのGeminiが、外部のツールから直に情報を引けるようにしたと発表しました。つながる先はAsana、Atlassian Rovo、HubSpot、Intuit Mailchimp、Intuit QuickBooks、Monday、Salesforceの7つ。あいだをつなぐのはMCPという仕組みで、これはAIと外部の道具をつなぐ共通の差し込み口だと思ってください。DocsやSheets、Chatを開いたまま、タブを切り替えず、ファイルを落とさずに、これらの中身を呼び出せます。提供はもう始まっています。ただし社員の画面に出てくるのは、管理者が有効にしてからです。
で、あなたの会社はどうすればいい
ここで正直に線を引きます。効くのは、この7つのどれかを既に日々使っている会社です。つくばの中小企業には、会計はfreeeやマネーフォワード、案件管理はkintone、という組み合わせも多い。その場合、今日この機能に飛びつく必要はありません。名前が挙がっていない道具は、今回はつながりません。ここで見送っても、何も損はしません。
一方、すでにSalesforceやHubSpotに顧客情報を貯めている会社なら、話は変わります。これまで「あの客先の直近のやり取りをまとめて」と思ったら、その画面を開いて、目で追って、手で写していた。それをDocsやSheetsの横で、Geminiに頼めるようになると考えられます。往復の一段が、一言の指示に置き換わる。派手な自動化ではありません。日に何度も繰り返す小さな写し取りを、機械の側に寄せる、というだけの話です。ただ、その小ささこそ一日で一番かさむ部分だったりします。
気をつけたいのは、これが「賢い判断」ではなく「取ってくる」の道具だという点です。数字を持ってくるのはGemini、その数字を見て、見積もりを出すか値引くかを決めるのは、これまでどおりあなたです。そこを取り違えなければ、任せる範囲もおのずと決まってきます。
試してみるなら
- まず、あなたの会社が使っている道具が、7つ(Asana、Atlassian Rovo、HubSpot、Intuit Mailchimp、Intuit QuickBooks、Monday、Salesforce)の中にあるか確かめてください。一つも無ければ、今日は見送りで構いません。
- ある場合は、Google Workspaceの管理者に一言。管理コンソールの「アプリ > Google Workspace > Gemini for Workspace > Third-Party Connectors」で、使う連携先だけをオンにしてもらいます。既定ではオンですが、どの連携先を許すかは管理者が選べます。
- オンになったら、DocsかSheetsを開いてGeminiの横パネルを出し、「Salesforceで、A社の直近3件のやり取りを箇条書きにして」のように、道具の名前と欲しい形を一緒に頼んでみてください。うまくいけば、画面を開き直さずに手元に並びます。
つまずきの先回り
- 対象はGemini for Google Workspaceを使えるプランに加え、個人向けのGoogle AI、Pro、Ultraにも及びます。自社がどのプランかは、管理者が把握しています。
- 社員が横パネルを探しても連携先が出ないときは、まだ管理者が有効にしていないか、対象のプランでない見込みです。設定漏れを疑う前に、そこを確かめてください。
- 横パネルから使えるのはDocs、Sheets、Slides、それにChatと案内されています。呼び出せる先も上の7つに限られます。手元の道具が入っていない、という食い違いは最初に潰しておくと、あとで振り回されずに済みます。
- 外部にある顧客データをAIに読ませることになります。誰の、どの連携先まで許すかは、オンにする前に社内で一度決めておく。あとから戻すより、先に線を引くほうが軽く済みます。
明日できる小ささは、たぶん一行です。自社が毎朝どのタブを行き来しているかを、紙に書き出してみる。その中にSalesforceやHubSpotの名前があれば、この連携は効きます。無ければ、次に会計や案件管理の道具を選ぶとき、「Geminiとつながるか」を選ぶ目の一つに足しておく。今日はそこまでで十分です。
出典(一次情報):Google Workspace Updates(Google公式)