4コマ1 4コマ2 4コマ3 4コマ4

「あの見積り、どのメールに付いてたっけ」。Google Chatで同僚とやり取りしている最中に、そう思ってGmailを開く。ついでにDriveも開く。日程を確かめようとカレンダーも開く。戻ってきたころには、タブが十枚を超えている。探すために画面を行き来する時間は、一日ぶんを積もらせると案外ばかにならない。

Googleは8月19日、そのGoogle Chatの中にGeminiを呼び出す入口「Ask Gemini in Chat」を出すと発表しました。Workspace Intelligenceを土台にした「仕事のためのコマンドライン」という位置づけで、8月26日から順次はじまる予定です。Chatを離れずに、GmailやDrive、カレンダーの中を横断して探し、会話の要点をまとめ、予定を組む。これまでChatの横に出ていたGeminiのサイドパネルの役割を、一つの入口にまとめた形です。

ここで大事な注記が一つあります。この切り替えは当面、Googleアカウントの言語を英語にしている人だけが対象で、日本語など他の言語の人はこれまで通りサイドパネルを使い続けます。他の言語への対応は今後追加される、と発表文には書かれています。つまりつくばの多くの会社にとって、これは「今日から使う道具」ではなく「遠からず来る形を、いまから知っておく」話です。

で、あなたの会社はどうすればいい

RASHINの見立てでは、Googleが狙っているのは「タブの行き来」そのものだと考えられます。探し物のたびにアプリを開き直す動きは、一回は数十秒でも、人数と日数を掛けると静かに時間を食います。その入口を、社員がいちばん長く開いている画面(Chat)の中に一つ置く。今回の発表は、Googleがそこへ寄せていく合図と読めます。

だからいま用意しておくと楽なのは、大がかりな導入ではありません。自社が対象のプランかどうか、社員のアカウント言語がどうなっているか、この二つを把握しておくだけです。対象はBusiness Standard・Plus、Enterprise Standard・Plusなどの有料プランで、無料のアカウントは入りません。ここを知らずに「Chatに新しい入口が出ない」と焦らないための、地ならしだと思ってください。

もう一つ、社員に一言だけ伝えておきたいことがあります。英語アカウントで切り替わった人は、Chatのサイドパネルにあった過去のやり取りが新しい入口には引き継がれません。必要な記録があるなら、切り替え前に手元へ残す。この一点だけ先に共有しておけば、後から「消えた」と慌てずに済みます。

試してみるなら

日本語アカウントではAsk Geminiはまだ始まりません。今日できるのは、来る形の下見と、足元の確認です。

  • 自社のプランを確かめる。Google管理コンソール(admin.google.com)にログインし、「お支払い」→「契約中のサービス」で、Workspaceのエディションを見てください。Business StandardかPlus、Enterprise StandardかPlusなら、今後の対象に入ります。
  • いまのGeminiサイドパネル(日本語アカウントで使える人)を一度触る。Chatの会話を開いた状態で、Geminiに「このスレッドで決まったことと、担当者ごとの次の一手を箇条書きにして」と入力してみてください。要点まとめは、新しい入口が引き継ぐ機能の一つです。
  • 社員のアカウント言語を把握する。各自のGoogleアカウントの言語設定を見ておくと、英語運用の人が先に切り替わる理由が腹落ちします。

つまずきの先回り

  • 「日本語だと出てこない」は不具合ではありません。発表文の通り、当面は英語アカウント言語だけが対象です。表示されなくても待ちの状態、と受け止めてください。
  • 有料プラン前提です。無料のGoogleアカウントや、対象外のエディションでは、そもそも今回の入口は来ません。「Chatを使っていれば全員に来る」ではない点に注意してください。
  • Gems(自作の指示セット)は、英語アカウントで切り替わるとChatのサイドパネルからは開けなくなります。ただし他のWorkspaceアプリのサイドパネルには残ります。Chatだけで使っていた人は、置き場所が変わると覚えておくと戸惑いません。
  • 過去のやり取りは新しい入口へ移りません。管理者は書き出しができ、許可されていれば各社員も自分の履歴をダウンロードできます。書き出しツールやTakeoutでは「Gemini in Workspace」の下に入る点も、探すときの手がかりです。

新しい入口が来ても、来なくても、今日やることは変わりません。自社のプランと、社員のアカウント言語を一度だけ確かめておく。それだけで、始まった朝に落ち着いていられます。

出典(一次情報):Google Workspace Updates