海外の部品メーカーと、画面ごしの打ち合わせ。先方は英語、こちらは日本語まじり。要点は伝わるのに、細かい条件のところで止まる。あとで「言った、言わない」にならないよう、結局は英語のできる人に同席してもらうか、その場は持ち帰ってメールで確かめ直す。つくばには海外とやりとりする会社も、外から来た研究者やインターンが混じる現場も多い。打ち合わせのたびに、言葉のところで一拍おく。この一拍を、道具の側で減らせる段になってきました。
Googleは2026年10月22日、ビデオ会議のGoogle Meetで、話した言葉をその場で別の言語に訳す通訳の機能を63言語に広げたと発表しました(Google Workspace Updates)。使っているのはGemini 3.5 Live Translateという仕組み。これまでは会議の始めに「英語と日本語」のように言語の組をひとつ決める必要があり、しかも対応は限られた組だけでした。今回からは、63言語のどの組み合わせでも、同じ会議の中で訳せます。誰がどの言語を話しているかはMeetが自動で聞き分け、聞き手それぞれが選んだ言語に、ほぼその場で訳していきます。
段取りそのものが変わる
ここでRASHINが見ているのは、「英語のできる人を一人つかまえてから会議を組む」という段取りが、要らなくなる場面が出てくることです。この通訳は、参加者が一人ずつ、自分の画面で入り切りします。会議全体で設定をそろえる必要がない。だからこちらは日本語で話し、相手は自分の画面で母語の音声と字幕を受け取る、という形になります。訳された音声に合わせて字幕も出るので、聞き逃しても目で追えます。
使う側の条件も、思ったより広く取ってあります。会議を主催する人が対象のプランを持っていれば、別の会社から招いた相手にもそのまま使ってもらえます。1対1の通話なら、どちらか片方が対象プランを持っていれば両方が使えます。つまり、言葉のことで今まで見送っていた打ち合わせを、こちらから声をかけて始めやすくなる、と考えられます。自分の声を訳させるかどうかは本人が選べ、Googleは声のデータを保存したり、それでモデルを学習させたりはしないと説明しています。社外の人を招くときに、ひとこと添えられる材料です。
配布は、速い系統の組織では10月22日から1日から3日ほどで、通常の系統の組織では11月2日から順次、最大15日ほどで見えるようになるとされています。まだ全員に出ていなくても、慌てる話ではありません。
試してみるなら
- まず自社のプランが対象か確かめます。発表では、Business Standard と Plus、Enterprise Standard と Plus、個人向けの Google AI Pro と Ultra などが対象として挙がっています。自社の契約がどれかは、管理者か契約書で一度見ておきます。
- 本番の前に、社内の誰かと短い会議を開き、画面下のツールバーにある通訳のボタンの場所と、字幕の出方を一度だけ確かめます。会議の開始時点では切れているので、入るときは自分でオンにします。
- 自分がすでに分かる言語は、追加で登録しておけます。登録した言語はそのまま残り、訳されません。英語はそのまま聞きたい、という人はここを設定しておくと耳が楽になります。
つまずきの先回り
- 63言語に増えたとはいえ、その63言語が具体的に何かの一覧は、今回の発表には載っていません。自社が使う言語が入っているかは、実際に会議でメニューに出るかどうかで確かめてください。
- 対象の地域と年齢に制限があるとされています。使えるはずの場面で出てこないときは、この制限か、管理者の設定で切られている可能性をまず疑います。前提として会議側で「Gemini for Meet」が有効である必要があり、組織や部署の単位で管理者が入り切りできます。
- 1回の会議で使える時間に上限があります。基本のWorkspaceやGoogle AI Proでは最大90分、AI Expanded Access・AI Ultra Access・Google AI Ultraでは最大8時間です。長い会議では切れるタイミングに気を配ります。
- 使えない場面がはっきり決められています。ライブ配信、録画、クライアント側を暗号化した会議、電話での参加や他サービスとの相互接続、adaptive audio(環境に合わせて音を調整する機能)を使っているときは通訳が出ません。会議室のMeet専用機では、遠くの参加者の訳された音声は聞けますが、その部屋の機器から出た声は、他の人向けには訳されません。
- 字幕や訳の出方は、配布が始まった直後は揺れることがあると案内されています。スマホの人は、Meetのアプリを最新に更新してから使います。
明日できる小ささ
明日できるのは、次の海外との打ち合わせを一つ思い浮かべて、主催を自社にするかどうかだけ決めておくことです。主催側のプランで招いた相手も使えるなら、誰を招くかの順番が、そのまま段取りになります。英語のできる人を探す前の一手として、まず一度オンにして会議に出てみる。判断はそこからで間に合います。
出典(一次情報):Google Workspace Updates