「ChatGPTの無料のやつで、メールの下書きくらいは頼んでいる」。そういう会社は多いはずです。上等な有料版があるのは知っている。でも毎月を足すほどの用事かと問われると、返事に詰まる。その線引きが、また少し動きました。
OpenAIが、GPT-6という新しい世代の下の段に、SolとLunaという2つのモデルを足しました。月のはじめに出たGPT-6 Astraが一番賢い旗艦で、今度のSolとLunaは、その賢さを「速くて安い」側へ広げる位置づけです。開発者が自分の道具に組み込むときの入り口であるAPIの料金は、前の5.6世代の暫定価格とくらべて半額になりました。くわしくはOpenAIの発表にあります。
ここで、つくばの会社にとっての読みどころは「値段」です。旗艦のAstraは、いちばん難しい仕事のための段。日々の下ごしらえ、たとえば問い合わせの下書きや議事メモの整えなら、下の段で足ります。今回はその下の段が、安くなった上に間違いも減ったと書かれています。OpenAIは、Solが前の型のおよそ半分の頻度までミスを減らしたとしています(同社の内部評価での話で、ふだんの使い方そのままの数字ではない、とも添えています)。
しかも、無料とGoの利用者は、新しいLunaをデスクトップアプリで使えるとされています。お金を足さずに、新しい下の段へ触れる道が一本あるということです。今まで「無料のは少し頼りない」と感じて有料に踏み切れずにいた仕事を、もう一度この段へ投げ直してみる。値が下がると、割に合わなかった手間が割に合う側へ寄る、と考えられます。決めるのは人が持ったまま、下ごしらえだけ安く回す。そういう向き合い方のできる段になってきました。
「間違いが減った」は、安い段でこそありがたい話です。下の段は速くて安いぶん、これまでは手直しの手間で得を食われがちでした。ミスが減れば、読み返して直す時間も減る。そこまで含めて「安くなった」と読むのが、実務に近いはずです。OpenAIは受け答えの調子も整えたとしていて、専門語が減り、少し短く要点に寄るはず、と説明しています(技術やコーディングの相談で特に感じられる、とのこと)。会社の側から言えば、長い前置きを読まされずに用が済む、ということです。
半額になったAPIの値引きも、自社に関係ないと決めつけないほうがよいかもしれません。予約フォームや社内の小さな道具にAIを組み込んでいる会社、あるいはそれを業者に頼んでいる会社なら、この下がりぶんはそのまま毎月の運用費に効いてきます。旗艦のAstraは、いちばん結果を求める一発勝負のための段。そこは変わらず最上位だとされています。日々の量をこなす段が安く賢くなった、という切り分けで見るのがよさそうです。
試してみるなら
まずは無料のまま、いつものChatGPTのデスクトップアプリ(パソコンに入れて使う方のアプリ)で、モデルを選ぶところを開いてみてください。並びの中に新しいLunaがあれば、それに切り替えて、ふだん頼んでいる仕事を一つ渡します。頼み方はいつものままで構いません。たとえば「この問い合わせメールに、断らずに日程だけ調整する返事の下書きを、敬語で3案ください」と入力してみてください。前より読みやすく、余計な前置きが減っていれば、下ごしらえ役として合格です。もう一つ、たまった名刺やメモを渡して「この内容を、宛名・用件・次にやることの3列で表にしてください」と頼むのも、下の段の得意な仕事です。有料のChatGPT WorkやCodexを使っている会社は、SolとLunaが選べるようになりました。
つまずきの先回り
一つ、置き場所に癖があります。無料とGoで使えるのはLunaで、しかもデスクトップアプリの中だけ、と発表は限っています。通常のChatにはSolもLunaもまだ入っていない、とも書かれています。「見あたらない」ときは、入り口を間違えている場合が多いはずです。もう一つ、料金が半額になったのはAPIの話で、これは自社の道具にAIを組み込む開発者向けの入り口です。ふだんアプリで使うぶんには、料金表そのままの値引きにはなりません。最後に、これらのモデルは順に配信していくとされています。すぐ選べなくても、時間をおいて開き直すと出てくることがあります。