会議の資料づくりで、取引先の一覧に業種や所在地を手で足していく。50社くらいならまだいい。これが300社になると、一社ずつ調べて打ち込む午後がまるごと消えます。表計算のそういう単純作業を、AIにまとめて任せられるようになってきました。
ただ、任せたあとに残る不安がありました。埋まった数字や分類が、どこから来たのか分からない。合っているのか確かめようがない。ここに手が入りました。2026年10月28日、Google は Google Sheets の Fill with Gemini が、AIで埋めたセル一つずつに、参照したウェブ上の出典を付けるようになったと発表しました。一度に扱えるセルも、最大3,000まで広がっています。
で、あなたの会社はどうすればいいか。
速さではなく「裏が取れる」ことが本体
発表は、手入力と比べて最大55倍速い、という数字も出しています。ただしこれは英語の指示で英語話者が500セルを埋めた社内の調査での値で、そのまま日本語の現場に当てはまる約束ではありません。RASHINの見立てでは、今回効いてくるのは速さの数字のほうではありません。セルごとに出典が見えること、これが本体です。
AIが埋めた表は、これまで「それらしいが、確かめられない表」でした。出典が一セルずつ付くと、気になった行だけ元ページを開いて、自分の目で確かめられます。新しく入ったアルバイトの調べ物に、調べた先のメモが添えてある状態に近い。全部を疑わなくても、怪しい数カ所だけ抜き取って見ればいい。
つくばの会社でいえば、使いどころは地味なところにあります。展示会で集めた名刺を打ち込んだリストに、業種の列をあとから足す。問い合わせ一覧を地域ごとに振り分ける。仕入れ先の所在地をまとめて埋める。どれも、担当者が一人で半日かけてきた手作業です。ここをAIに回し、出典で数カ所だけ検品する形にすれば、半日ぶんの手間が十数分の確認に寄っていく、と考えられます。
我々が表計算でやりたいのは、速く埋めることではなく、安心して次の判断に使うことです。出典が付いたぶん、その一歩手前の「この数字、信じていいのか」で止まる時間が減ります。逆に言えば、出典の無い列をそのまま見積もりや提案資料に貼るのは、これまでどおり危ない。付いた出典を開かずに信じてしまっては、確かめられる機能を持っている意味がありません。
試してみるなら
Google Sheets を web で開き、右上の「Ask Gemini」(スパークのボタン)から横のパネルを出します。そこで、埋めたい範囲を選んで、たとえばこう頼みます。
- 「この列の会社名を、それぞれの主な業種で分類して。出典も付けて」
- 「B列の市区町村名を、所在する都道府県に置き換えて」
- 「この製品名の一覧に、公式サイトの製品ページのURLを一列足して」
埋まったセルに出典が出たら、全部ではなく、数字が大きい行や意外だった行を2〜3カ所だけ開いて、元ページと突き合わせてください。まず小さい表で一度試して、出典の付き方と精度の癖をつかんでから、本番の表に広げるのが安全です。
つまずきの先回り
- 使えるのは、Gemini in Sheets が有効になっているプランです(Business の Standard・Plus、Enterprise の Standard・Plus、個人の Google AI Pro・Ultra など)。自社のプランで「Ask Gemini」が出るか、先に一度確かめてください。
- 出典が付くのは、web版の Google Sheets です。スマホアプリでの見え方は発表に書かれていません。
- 配布は一度に全員へではなく、最長15日ほどかけて順に広がります(2026年10月20日開始)。今日の時点で自分の画面に無くても、少し待つ段です。
- 最大3,000セルという上限は「一度の頼み」の話です。もっと大きい表は、範囲を分けて何回かに分けて頼む形になります。
明日できる小ささとして、まず手元の表を一枚だけ選んで、10行ほどで出典付きの埋め方を試す。それだけで、この機能が自社の作業のどこに効くかが見えてきます。
出典(一次情報):Google Workspace Updates(Google公式)