見積もりを一本作る。相手の名前を間違えないよう前のメールを見返し、在庫表を開き、送付状の決まり文句を貼る。どれも五分ずつの作業です。でも五分が六つ重なると、午前が溶ける。手は動いているのに、前に進んだ気がしない。そんな朝が、たぶんあなたの会社にもあります。
Googleは10月13日、同社の最上位モデル Gemini 4 Argon を Gemini アプリで使えるようにしたと発表しました(Googleの発表)。先に名前だけ出ていたモデルが、10月13日から Google AI Pro と Ultra の契約者の手元に届いた、という知らせです。Google の説明では、Argon は回りくどい前置きを減らして答え、同じことを必要以上に繰り返さず、長い作業では途中経過をこまめに知らせる、とされています。
で、あなたの会社はどうすればいい
目を引くのは、賢さそのものより、会話の画面に付いた小さな切り替えのほうです。いつもの「聞いて答えてもらう」から、「仕事として任せる」へ、トグル一つで移れる。任せる側を選ぶと、Gemini はあなたがパソコンの前にいなくても作業を進め、Google のアプリをまたいで用事を片づける、と Google は説明しています。
これは、頼み方が一段変わるということだと考えられます。今までは質問を投げて、返ってきた文を自分で貼り直していた。これからは、終わらせたい用事そのものを渡して、席を立てる。朝の五分仕事の束を、席に戻ったとき一本の結果として受け取る。そういう使い方に近づく、とRASHINは見ています。
つなげられるアプリは40以上あると紹介され、例として Instacart や OpenTable、Adobe、Shopify が挙がっています。はじめの二つは日本では馴染みの薄い海外のサービスです。だからこの例をそのまま真似する必要はありません。見るべきは、すでに会社で使っている Google のアプリを、Gemini がまたいで動かせる方向に進んでいる、という流れのほうです。
コーディング(プログラムを書く作業)も強くなり、Google Antigravity という作業を手伝う画面が、Gemini の macOS アプリから直接使えるようになりました。社内に開発の人がいる会社なら、ここは別に確かめる値打ちがあります。
試してみるなら
まず前提を一つ。Argon と、仕事を任せる機能は Google AI Pro か Ultra の契約者向けと案内されています。無料の枠が含まれるかは発表でははっきりしないので、自社がどの列にいるかを先に確かめてください。
契約があるなら、Gemini アプリの会話画面で、チャットとタスクの切り替えを探します。タスク側にして、こう入力してみてください。「来週水曜の午前に、A社向けの打ち合わせメモの下書きを作って。前回の議事録と、共有ドキュメントの『A社』フォルダを見て、要点を5つにまとめて」。
いきなり本番の取引先で試さず、社内の定例など、間違っても困らない用事で一度通してみるのが安全です。流れがつかめてから、相手のいる仕事に広げる。その順番だと、戻せない失敗が起きにくくなります。
つまずきの先回り
今回の新しい機能は Pro と Ultra の契約者向けと案内されています。無料プランで切り替えが出るかは発表でははっきりしません。使えないときは、まずプランを疑ってください。
Antigravity の画面は macOS アプリから、と案内されています。Windows で同じ入り口を探しても見つからない場合があります。開発まわりを任せたい会社は、手元の環境で入り口が出るかを先に見ておくと無駄足が減ります。
例に出た Instacart や OpenTable は海外のサービスです。日本で同じ種類のサービスが、そのまま同じようにつながるとは限りません。つなげたいアプリが対応しているかは、連携の一覧で一つずつ確かめるのが確実です。
「席を立っても進む」は助かりますが、任せた結果をそのまま送らないこと。戻ってから中身を見て、それから出す。相手のいる用事ほど、人の最終確認を一度はさんでください。
明日できる小ささは、たぶん一つです。今、手で五分ずつ片づけている朝の用事を、紙の端に三つだけ書き出す。見積もりの下ごしらえ、議事録の要点集め、決まり文句の送付状。任せられる形に言葉を変えるのは、その三つが見えてからで間に合います。道具が賢くなる前に、渡したい仕事のほうを先に用意しておく。順番は、いつもそちらが先です。
出典(一次情報):Google