月曜の朝、案件の一覧をExcelで開く。そこから進捗のグラフを作り直す。先週も、同じことをした。数字が一行動くたびに、表をコピーして、色を塗り直して、円グラフを貼り替える。作ったそばから古くなるので、また来週やる。この「作り直し」だけで、毎週の三十分が静かに溶けていく。心当たりのある人は、たぶん多い。
そのやり方に、Microsoftが一つ手を入れました。Copilot in SharePointが、SharePointのリストから直接、そのまま動くダッシュボード(一覧を図にした画面)を作れるようになった、という発表です。肝は、できあがった画面がリストと切れていないこと。元のリストの数字を書き換えると、画面もそこに合わせて変わる。ExcelやCSVのファイルからでも同じことができます。中身はMicrosoftの案内に書いてあります。
で、机の上で何が変わるか
中小企業が持っている「リスト」を思い浮かべてみます。案件表、在庫表、顧客名簿、問い合わせの台帳。その多くは、ExcelかSharePointのリストの形で、もう手元にあります。今までは、そこから報告用の画面を作る人が別にいて、数字が動くたびに作り直していました。
今回の変更で、この作り直しの工程が一つ減ると考えられます。元の表を直せば、報告の画面のほうが後からついてくる。人が数字を写し替える手仕事が要らなくなる、という話です。派手な新機能というより、地味な手間が一つ消える種類の変化です。だから効くのは、毎週おなじ表を触っている現場ほど、だと思います。
たとえば、営業の案件表を思い浮かべます。誰が、どの見込み客に、いくらで、いつまでに。この一枚を、毎週の会議用にグラフへ起こしている会社は少なくありません。その起こす作業を、リストのほうに預けられる。会議の前の晩、担当が数字だけ最新に直しておけば、当日ひらいた画面はその通りに映ります。前夜のひと手間だけで、朝の作り直しが消える、という順番です。在庫表でも、問い合わせの件数でも、同じ形が使えます。
大事なのは、これが「新しいグラフの作り方」ではなく「作った後、放っておける」点です。今までのグラフは、貼った瞬間から古くなる約束でした。そこが変わる、と読めば十分です。
試してみるなら
先に一つ。これはMicrosoft 365 Copilotのライセンス(有料の追加契約)が要る機能です。ふだんのMicrosoft 365にそのまま付いてくるものではないので、まず自社が対象かを確かめてから読み進めてください。
対象なら、SharePointでリストを一つ開き、右上のCopilotのボタンから、次のようにそのまま頼んでみます。
「この案件リストから、進捗・期限・担当・予算の状況が一目でわかるダッシュボードを作って。リストと連動する絞り込みとグラフを付けて」と入力してみてください。
いきなり全社の大きな表でやらないほうがいいです。まずは十行ほどの練習用リストを一つ作り、そこで一度ダッシュボードを出す。そのあと元の数字を一つ書き換えて、画面のほうも変わるかを自分の目で確かめる。ExcelやCSVから始めたいときは、そのファイルをSharePointに置いてから、同じように頼めます。ここまでを一度通せば、感覚はつかめます。
つまずきの先回り
ライセンスが無いアカウントでは、この項目そのものが画面に出てきません。「うちのMicrosoft 365にあるはず」と探しても見つからないときは、たいていここが原因です。ふだんのWordやExcelとは別の契約だと思ってください。
画面が最新に変わるのは、その画面を開いた時です。誰かが常に見ていなくても勝手に動き続ける監視盤、ではありません。開くたびにリストを読み直す、と理解しておくのが安全です。
もう一つ、よく誤解される点があります。画面だけを渡せば中身も見せられる、という思い込みです。実際には、元のリストを見られない人には、その画面の中身も見えません。共有する前に、誰がその元リストにアクセスできるのかを一度確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
明日できるのは、全社の仕組みを入れ替えることではありません。手元の小さなリストを一つだけ選んで、報告の画面を一度作らせてみる。それだけです。うまくいけば来週の月曜、あの三十分は別の仕事に回せます。